債権者は、債権を有する者を指し、債務者は、債務を有する者を指します。
とはいえ、1つの契約から発生する債権債務関係が1つであるとは限りません。たとえば、Xが、Yから新車1台を代金300万円で購入する契約を考えてみましょう。X(買主)はYに代金300万円を支払うという債務(代金支払債務)を負う一方、Y(売主)はXに新車1台を引き渡すという債務(目的物引渡債務)を負います。なお、ここにいう「目的物」とは契約の対象とされているものを指します。
このように、1つの契約から複数の債権債務関係が発生することがあります。
契約の当事者の双方が、互いに対価的な債務を負担する契約のことを双務契約とよびます。たとえば、上述の売買契約は、Xの代金支払債務とYの目的物引渡債務が互いに対価の関係にあるので、双務契約にあたります。
一般に、民法で規定している13種類の典型契約(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解)のうち、売買、賃貸借、請負、有償の委任、有償の寄託、雇用などは双務契約にあたるといわれます。
双務契約では、同時履行の抗弁権や危険負担が問題になります。