XがYに対して何らかの法的主張をする場合、Xは自己の請求を基礎づける一定の事実を主張・立証することが要求されます。たとえば、X(売主)がYに対して売買契約に基づく代金支払請求権を行使しようとするときには、Xは、XとYの間で売買契約が締結された事実を主張・立証することが必要です。
このような、裁判を起こす側(=原告)が求めている法的主張を肯定するために(最低限)必要な事実を請求原因事実といいます。
売買契約がなければ代金支払請求権が発生するわけはないのですから、当たり前ですね。
他方で、Yの側でも、いろいろ言いたいことがあるかもしれません。たとえば、
①いやいや、売買契約なんか締結してないですよ!
②たしかに売買契約は締結したけど、もう代金は払ったじゃないですか!
などが考えられます。
このうち、①はXの主張している事実と真っ向から矛盾する主張をしていますね。このように、請求原因事実を否定する反論のことを、否認といいます。
他方で、②はXの主張している事実(売買契約締結の事実)は認めたうえで、代金支払請求権は弁済で消滅したと主張しています。このように、請求原因事実と両立しつつも、原告の法的主張が認められなくなるという反論を、抗弁といいます。
詳細については、民事実務基礎の教科書を参照してください。